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tacodayoのブログ

ヨハネの黙示録に預言された時代に生きる現代人に必要な情報を発信していきたいと思います。

高線量被曝の恐怖 その3

以下は
イスラエル国ソレク原子力研究センターにおける医療用殺菌装置による被ばく事故
からの引用です。
(写真はIAEA報告書から)

<概要>
1990年6月21日にイスラエル国ソレク原子力研究センター内にあるスルバン社の商用照射装置(コバルト60線源,1260GBq=34万Ci)の照射用コンベヤーの故障を修理しようとした32歳の作業者が照射室内に入り全身に10Gy被ばくした。
この作業者は、数分後から急性放射線症状を呈し、直ちに入院したが、36日後に死亡した。

<本文>
1.背景

スルバン(Sor-Van)社の照射施設は医療用の器具と食品(スパイス類)の放射線殺菌に使われており、線源はコバルト60、1260GBq(34万Ci,1990年6月現在)である。
照射施設( 図1 )は、1960年代にカナダ原子力エネルギー社により設計、製造され、事故発生までの19年間、故障なく使用されていた。

線源は水槽中に貯蔵されており照射時には気圧で照射室に上げられ、この装置のシリンダー圧を下げると、線源は自重で格納位置に降りる。線源が照射位置に上げられた状態の時には「線源上昇」のランプ、降下したときには「線源格納」のランプが点灯する。
線源が途中で引っかかった場合にはこれらのランプは点灯せず、それを知らせるランプが点灯する。

照射する製品の入った箱が途中で引っかかると移送装置が止まり、線源は水槽内に降り、制御盤上のしかるべきランプが点灯して運転員の注意を喚起する。荷物の引っかかりを直すには照射室内に入らねばならない。

その照射室入口ドアは制御盤のスイッチと同じ鍵で開閉される。
ところで、ドアには二重の安全インターロックがついていて、鍵があっても開けられない場合がある。
インターロックの1つは「線源格納」スイッチと連動しており、「線源格納」ランプが点灯した時にインターロックが解除される。
更に第2のインターロックがあって、「線源格納」ランプが点灯すると入口通路に備え付けられているGM管式放射線測定器がオンになり、これが放射線を検知するとアラームが鳴り、警告ランプが点灯し、ドアは開けられなくなる。

照射室に入るときは、作業者はこのGM管式放射線測定器の「テスト」ボタンを数秒間押してから入ることが規定されており、この場合にはGM管式放射線測定器はバックグラウンド放射線を測ることになるが、この後に第2のインターロックは解除される。
ドア(及び制御盤)の鍵には鎖で可搬型ガイガーカウンタが取り付けられており、作業者はそれをドアロックに付けられているテスト線源にあてて作動テストしてから照射室に入ることになっていた。

事故当日、安全システムは全て正常に機能していた。
事故当日の運転作業者は4名で、その内の1人は熟練技師で施設が1960年代後半にできて以来働いており、施設全般を充分に知りつくしていた。
他の1名は勤務9年、残りの2人は勤務3年半であった。全員が研修を受け、試験に合格していた。また、イスラエル政府当局の規定に従って、放射線防護コース(4日)を受講済みであった。
(中略)

2、事故の状況と結果
6月21日午後5時に照射のための製品の入った箱が引っかかり、箱の運搬にトラブルが生じた。
移送システムは止まり、線源が水槽に入ったことを知らせる「線源格納」信号が出た。しかし、いつもと違ってガンマ線警報が鳴った。
オフィスで警報を聞いた人々(その中には熟練技師もいた)は警報を止めるために主電源を切り、当直運転員(32歳)を自宅から呼び出した。
当直員は数分後に到着し制御盤のスイッチを入れた。
制御盤は、
(1)「製品がが引っかかっている」
(2)「線源格納」
(3)「放射線警報」を示した。

(1)(2)と(3)は互いに矛盾する信号である。

当直員は信号(1)(2)を正、信号(3)を誤動と判断し、制御盤内の回路(放射線検知器と連動している)を切断して警報を止め、放射線モニターテストと第2のインターロックとをうまくし操作し、解除した。

彼はガイガーカウンタと連結されている鍵(鍵を使う時には必ずガイガーカウンタで放射線をチェックするようにするために鍵とカウンターが連結されている)で照射室のドアを開けた。
その時
このカウンタは故障して作動しない状態であったが、これをドアのテスト線源でチェックすることを怠っていた

照射室内に入り製品の箱が壊れているのを発見したが、水槽のチェレンコフ光を確認しなかった(その時線源架台は箱にひっかかって下まで降りず途中で止まっていた)。
彼は手押し車を持ってきて壊れた製品の箱をコンベヤーから降ろしはじめた。

しかし1~2分の内に眼が焼けるように感じ、頭の中で何かが鳴っているような奇妙な感覚に襲われ、怖くなって室を出た。

そして上司に状況を報告した。

彼は間もなく気分が悪くなり
けいれんを起こした。


熟練技師は直ちに緊急センターと放射線防護担当官(RPO)に電話した。
RPOは放射線モニターを持って照射室に入ったが、入口の迷路を2~3歩入ったところで0.5Sv/時の放射線を検知し、入るのを止めた。
結局、カナダの会社に問い合わせ、引っかかった製品の箱を壊し、線源をできるだけケーブルで引っ張り上げ急激に落下させることによりプール内に格納した。

3.外部線源による急性障害
当時32歳の当直員はテレアビブの病院に運ばれ、そこから同日中にエルサレムのハダサ(Hadassah)病院に送られた。
当直員はTLD(熱蛍光線量計)をその夜つけ忘れており、被ばく線量は照射室内滞在時間から10~20Gyと推定された。
一般に全身で1~2Gyの被ばくで典型的な急性放射症をおこし、5Gyを越すと危険であると考えられている。

患者は被ばく5分後には吐き気を覚えている。
その後、腹痛、下痢、発熱や腹膜炎を疑わせる兆候を示すなど消化器症状が出現ている。
同時に血液中のリンパ球数の急激な減少、染色体異常の頻度の増加など重症被ばくの症状も出現し、4日後にはリンパ球は消失し兄弟から骨髄移植が行われた( 図2 )。






13日目には白血球数の増加が見られたが患者の状態はよくならず、黄疸も出現し拒絶反応を疑わせる所見も見られた。
神経学的には、3日目からうとうとし始め15日目にはいらだちが出現し、27日目には錯乱状態に陥った。
消化器も極度の下痢による脱水、広範な炎症や潰瘍等が見られている。
当然の事ながら頭頚部、手足、口腔内に水疱を伴った炎症が生じた。

結局
被ばくから36日目の
7月27日に死亡した。


□ヤナンゴ(ペルー)水力発電所被爆事故。

99年2月20日
水力発電所建設現場で働く溶接作業員が、非破壊検査用のイリジウムI92lrをズボンのポケットに入れて家に持ち帰り、家族ら5人が被ばくし、
溶接工の1本の右足の切断
を必要とした重大事故。

写真はIAEA報告書
『THE RADIOLOGICAL ACCIDENT
IN YANANGO』から







以下は
ギラン発電所被爆事故
IAEA報告書
『THE RADIOLOGICAL ACCIDENT IN GILAN』
からの抄訳です。

1996年7月23日23時にテヘランから600km北にあるギラン複合サイクル化石燃料発電所で、エックス線を用いた非破壊検査が行われました。
設備のフロアから6mの高さに位置するボイラーとパイプの溶接点を、185ギガBqの イリジウム192Irでレントゲン写真を撮るためです。
1996年7月24日の03時ごろ、X線撮影容器のロック不全により、イリジウム源は、その駆動ケーブルから分離したようになったと聞いています。
その放射線源は6m落下して、高さ1mのコンクリートブロック製の壁に囲まれていた溝にはまりました。
コンクリートで放射線が遮蔽されたので仕事を終えた検査チームは、問題なく放射線源が容器の中に格納されたと思い込みました。

33才の被爆者は、熱を絶縁するためにボイラーとパイプの被覆をする仕事に従事していました。
彼はイランイスラム共和国北部の地方の村出身で、読み書きができませんでした。
まもなく、彼は(被爆第1日目の)1996年7月24日08:00に仕事を始め、熱絶縁材料を運び、梯子を登っていると、光る金属物(192Ir源)が溝に落ちていることに気がつきました。
彼は梯子を降りてそれを自分の上着の右ポケットに入れました。
伝聞によると彼は、1時間半もの間、それを調べるために、ポケットに出したり入れたりを繰り返しましたそうです。

09:30ごろ、彼はめまい、吐き気、無気力感と熱さを胸に感じ始めました。
拾った物が、彼の異変の原因だと思い彼はそれを溝に戻して、労働者用の休憩所に行きました。

彼が、溝にそれを戻す前の朝9時ごろ、イリジウムがその容器の中に見当たら無いことをレントゲン技師は発見しました。
検索はすぐに始められ、放射線源は10時頃に溝で見つかりました。
それはシールド容器に戻され、所長と放射線防護技師に報告されました。

伝聞によると被爆者は、昼過ぎに同僚に苦しくやる気がないこを伝え、そして彼が見つけてまた溝に戻した光る物のことも話したそうです。

報告を受けた所長は、放射線防護担当者に意見を聞いた後に、イラン原子力庁に通知しました。
そしてその報告を受けた人は所長に、血液サンプル採取のために被爆者を病院に送るように勧めました。














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